ALTEC CF404−8A 使用
バスレフ・スピーカーシステムの製作
〜12cmユニットをゆったり鳴らすエンクロージャ〜




はじめに

 ここのところ6BX7pp、6GF7シングルと、小型のステレオアンプを2台立て続けに製作し、それに
見合った小型のスピーカーシステムが欲しくなり、押入れの奥に長いこと保管してあったフォステクスのFE
103を引っ張り出してきて、コイズミ無線さんで購入したヒカリ工芸製のバスレフ箱(5リットル)に取り
付けてみたのが昨年の10月ごろ。。。ところがこれは低域がまったく出ずに大失敗^^;。う〜ん、内容積
5リットルのエンクロージャではやっぱりムリか。。。^^;

 ってなわけで、もちょっとマシな音の出る小型スピーカーシステムを製作しよう!!と思い立ち、ほとんど
20年ぶりぐらいにスピーカーシステムを設計・製作してみました^^v。


どんなスピーカーシステムにするか

 で、どんなスピーカーシステムにするか?です。インターネットでいろいろ調べてみると、10cm前後の
ユニットの場合、みなさんいろいろ工夫されていて、一番多いのが、バックロードホーン(以下BH)、次い
で多いのが、ダブルバスレフ(以下DB)でした。まずBH、構造が複雑で難しそうなので却下(笑)。BH
は今から20年以上前に作ったことがあって、確かに『低域は出る』んだけれど、ホーン特有の位相の問題や、
特定の周波数で発生するディップが気になったりで、今回は見送りました^^;。。。次にDB、これもBH
ほどではないにしても低域はある程度出そうです。が、やっぱり位相の問題とダクトの2重構造による群遅延
特性が気になります。そこで、とりあえずは『オーソドックスなバスレフ』で製作して、後でダブルバスレフ
に変更可能な構造(具体的にはスリットタイプのバスレフ)とすることにしました。


ユニットはどうするか

 当初はフォステクスのFE103が4本あったので、これを片側2ユニットずつ使用する予定だったんだけ
れど、インターネットでいろいろ調べているうちに、アルテックの12cmフルレンジ(CF404−8A)
が目にとまり、たまたま臨時収入?!があったこともあって、このユニットを使用することにしました^^v。
バッフル板だけ用意すれば、FE103にも換装可能なようにエンクロージャを設定したので、後でいろいろ
試してみたいと思います。

ALTEC CF404-8A(その1) ALTEC CF404-8A(その2)
【ALTEC 12cmフルレンジスピーカー CF404−8A】

 今回、使用したアルテックのCF404−8A、設計に必要なスペックがメーカーからほとんど公表されて
いません。(公表されているのは能率と、何故か−10dB落ちの最低共振周波数ぐらい^^;)。インター
ネットでいろいろ検索したところ、実測のスペックを公開しているサイトを発見。以下がそのスペックです。

CF404-8A 実測T/Sパラメータ
Sensitivity 92dB
Free air resonance Fs 95Hz
DC resistance 7.0Ω
V.C.inductance 1kHz 0.62mH
Effective cone area 66cm2
V.C.diameter 25mm
Moving mass incl. air 4.2g
Vas 4.19ltrs
Qms 3.25
Qes 0.58
Qts 0.49

※振動版の実効半径は、実効面積から逆算して4.92cmです。


エンクロージャの設計

 私のエンクロージャ設計のバイブルは、『電波科学1981年10月号』←古っ!!。なにしろ最後に製作
したスピーカーシステムが20年以上前なのだから、当然といえば当然のことです。で、今回、バスレフ箱を
設計するに当たり、図書館でその方面?の本を借りてきたんだけれど、その中に『エンクロージャー設計支援
ソフト"sped"』なる記述を発見!!。なんでもエンクロージャがカンタンに設計できるフリーウェアだそうで、
早速インターネットからダウンロード(便利な世の中になったものです^^v)。このソフト、スピーカーの
ユニットデータを入力して、製作したいスピーカーの寸法を入力すると、そのエンクロージャの実効内容積と
バスレフダクトの共振周波数、おおよその出力音圧特性とインピーダンス特性のグラフがアッちゅー間に表示
されるという優れものソフトです(笑)。んで、早速これでエンクロージャを設計^^v。

sped(その1) sped(その2)
【エンクロージャー設計支援ソフト"sped"】

 設計の前に、近所のDIYショップに偵察?に行き、板材を見てきました。どんなに優秀な設計でも、実際
に製作できなければ、それは「絵に描いた餅」に過ぎません。。。市販されている板材の寸法から、効率よく
=余る部分を極力少なく裁断し、取り得る最大の大きさで、且つ、12cmのユニットとバランスの取れた大
きさのエンクロージャということで、15〜20リットル程度の内容積を目標としました。このぐらいの容積
があれば12cmフルレンジの箱としては申し分ないかと。。。ってなわけで、

エンクロージャ概寸
バッフル板 150mm×最大600mm
背板 150mm×600mm
側板 250mm×600mm
天板 150mm×(250mm−バッフル板と背板の板厚)
底板 150mm×(250mm−背板の板厚)
板厚 18mm

でエンクロージャを設計。

 内容積は約17リットル。バスレフダクトはスリットタイプとし、長さ=78mmでfd=64Hzとなり
ました。ユニットのFsが95Hzなので、fd=64Hzというのはちょっと低すぎる気もしますが、もと
もと低域の出ないユニットなので、ここは思い切って低めに設計しました。


無駄のない板取り←びんぼー性の現われ^^;

 エクセルシートで1マス10mmの方眼紙を作り、罫線を駆使して(それほどでもない^^;)裁断図?を
作成しました。なるべく無駄が出ないように、慎重に、少ないコストで最大の箱!!(笑)。。。先のDIY
ショップの偵察?で、使用する板材は、今売り出し中の赤松(レッドパイン)の集成材としました。板の厚さ
は18mm。スピーカーシステムの製作者の間では、フィンランドバーチという樺の木を使用するのがホット
なようですが、地方のDIYショップでは扱っておらず、今回は赤松に決定^^v。下記に裁断図?とspedに
よる設計図を貼り付けたエクセルシート(圧縮ファイル)をアップします。

CF404-8A_SPBOX.zip (40kByte)

 板の裁断はDIYショップにお任せしました^^v。直線は1カット30円ぐらいだったかな。今回はユニ
ット取り付け用の直径103mmの穴開けもお願いしました^^v。なので、自分で開けたのは、スピーカー
端子の取り付け穴と、木ネジの下穴のみ。。。流石にお店にお任せするとカットも綺麗です^^v。


木工工作に用意するもの

 ええっと、、、ここで今回エンクロージャを製作するにあたり使用した材料やら工具やらを簡単に紹介して
おきます。先ず材料では、木工用ボンド、木ネジ、釘、ステップル、グラスウールぐらいかな。次いで工具で
は、プラスドライバー、メジャースケール、糸ノコ、ハンマー、電気ドリル、棒ヤスリといったところです。

材料
木工用ボンド 速乾性のものを使用しました。
木ネジ エンクロージャの組み立ては、全て3.8mm×32mmの木ネジとしました。
真鍮の釘で、8mm×8mmの角材を取り付けるのに使用しました。
ステップル 小型のステップルで、グラスウールを固定するのに使用しました。
グラスウール 吸音材として使用します。
SPケーブル スピーカー端子とユニット間のスピーカーケーブルです。

工具
プラスドライバー 木ネジを回すのに使用しました。
メジャースケール 木ネジの取り付け穴を決めるのに使用しました。
糸ノコ バッフル板側面の音漏れ防止の角材(8×8mm)を切るのに使用しました。
ハンマー グラスウールを固定するステップルの打ち付けなどに使用しました。
電気ドリル 木ネジの下穴を開けるのに使用しました。
棒ヤスリ スピーカー端子の穴の拡張などに使用しました。
半田ごて&ハンダ スピーカーユニットにケーブルをハンダ付けします。


下ごしらえ?

 さてさて、カットした板材と、その他の材料・工具が揃ったら、いよいよ製作です^^v。先ずは下ごしら
え?として、木ネジを取り付ける下穴を開けました。2枚の板を接続するワケですから、1枚目の板に下穴を
開けておいて、作業を楽にしようと言うわけです。木ネジの直径から、4.2mmのドリルで下穴を開けまし
た。木ネジは全て側板から締めることにしたので、下穴も側板のみです。片側12箇所、計24箇所に開けま
した。(つまり、このエンクロージャは、1台当たり木ネジ24本で組み立てられているわけです。)

カットした板材 木ネジの下穴
【カットした板材(左)と木ネジの下穴(右)】

 下穴を開け終えたら、次はスピーカー端子の取り付け穴です。今回用意したスピーカー端子は直径10mm
程度の丸い穴を片側2箇所開けることで対応できるタイプなので、太めのドリルで一気に開けてしまいました。

 バスレフダクトはスリットタイプとしたため、バッフル板に予めスリット板を取り付けておきます。バッフ
ル板にはネジや釘を使いたくなかったので、スリットタイプのダクトは、バッフル板に木工用ボンドで取り付
けました。

バッフル板のスリットダクト 組み立てられたエンクロージャ
【バッフル板のスリットダクト(左)と組み立てられたエンクロージャ(右)】


組み立て

 今回、板と板の間には木工用ボンドを使用しませんでした。これは、はみ出したボンドの処理がやっかいな
ためで、その代わり?、組み立て終わった箱の内側の接合部分には木工用ボンドをたっぷりと注いで、隙間を
埋めています。これで特に問題はないかと。。。また、前面のバッフル板は、メンテナンスや別のユニットを
取り付けたバッフル板と交換できるように取り外し可能としたので、キャビネットの内側両サイドに8mm×
8mmの角材を入れて音漏れを防いでいます。

木工用ボンドで接合 音漏れ防止の角材
【板材の接合部分(左)と音漏れ防止の角材(右)】

<ワンポイントアドバイス?!>

 今回、300mm×1820mmの板を細長く半分に切って、2本の箱のバッフル板、背板、天板、底板を
取りました。このとき、300mmの片側から150mmのところに罫線を入れ、その罫線にカッター(鋸)
の歯を当てたため、2枚の板の幅はカッターの歯の厚さ分、微妙に異なってしまいました。まあ、スピーカー
ボックス的?には許容の範囲ではあるので問題ないのですが、組み立てるときには、300mmを半分にした
150mm×1820mmの板から切り出したバッフル板、背板、天板、底板で統一しないと、カッターの歯
の厚さ分の微妙な隙間が出来てしまいますので、注意が必要です。


スピーカー端子の取り付け

 吸音材の取り付けが先か、スピーカー端子の取り付けが先か、悩みました(笑)。ま、どちらが先でもいい
んだけれど。。。グラスウールを先に付けると、手がチクチクしそうなので^^;、先にスピーカー端子から
取り付けです。10mmのドリルで開けた下穴がちょっと小さくて棒ヤスリでちょいと拡張^^;。更に板の
厚さが18mmあるので、スピーカー端子を板に取り付ける前に、スピーカーケーブルのハンダ付けを済ませ
ておくことにしました。今回使用したスピーカーケーブルは、オーディオテクニカのアートリンク。ホントは
アクロテックの6Nケーブルにしたかったんだけれど、手持ちの6Nケーブルがちょっと短くて断念^^;。

スピーカーケーブル スピーカー端子
【スピーカーケーブル(左)とスピーカー端子の取り付け(右)】


吸音材の取り付け

 吸音材はオーソドックスなグラスウールです。んがしかし、インターネットで調べたら、最近では吸音材も
いろいろあるんですねーーー!!ビックリです^^;。。。それはさておき、吸音材は適当な大きさに切って
電気工事で使用するステップルで固定しました。吸音材は多過ぎず、少な過ぎず、、、って、どのくらい入れ
たら良いのか、この辺りは、カット&トライで決めて行くしかありません^^;。

ステップルとグラスウール 吸音材を入れたエンクロージャ
【ステップルで固定した吸音材(左)と吸音材を入れたエンクロージャ(右)】


ユニットの取り付け

 吸音材を入れた箱にバッフル板を取り付けて、とりあえずエンクロージャは完成^^v。残るはユニットの
取り付けです。CF404−8Aには、ユニット取り付け用の木ネジが付いていないので、4mm×16mm
のトラスネジを別途購入。ユニットにスピーカーケーブルをハンダ付けした後、エンクロージャに取り付けて
完成です^^v。

スピーカーケーブルのハンダ付け スピーカーの取り付け
【スピーカーケーブルのハンダ付け(左)とスピーカーの取り付け(右)】


音を出してみる

 スピーカーシステムは、十分なエージングをしないと本来の音が出ません。最低でも半年ぐらいはかかるん
じゃないでしょうか。なのでホントの試聴は半年後です。それではサヨウナラ。。。ってなワケにはいかない
ですね、はい(笑)。で、とりあえず音を出してみた感じでは、明らかに5リットルのバスレフよりも低域が
出ています(当たり前か?^^;)。中域のメリハリはアルテック特有のもので、聴いていて心地良いです。

音出し風景
【とりあえずの音出し^^v】

 で、CDの試聴はここまでとして、フリーウェアの多機能高精度テスト信号発生ソフト『WaveGene』と高速
リアルタイム スペクトラムアナライザー『WaveSpectra』を使用して、周波数特性を測定してみることにしま
した。やり方は超カンタン、ノートPC上の『WaveGene』で20Hz→20000Hzまで正弦波をスイープ
し、USBオーディオキットでUSB出力をDA変換してアンプに入力、スピーカーから出てきた音をノート
PCのマイクで拾って、同じノートPC上の『WaveSpectra』で観測。。。 こんなんでいいのか?と思わない
わけでもないけれど、高価な測定器なんて持ってないし、それとなく「傾向」ぐらいは掴めるんじゃないかと
言うことで、試してみた結果がこちら↓^^v。

音出し風景
【『WaveGene』と『WaveSpectra』による実測周波数特性 】

 グラフでも観測出来ていますが、実際に聴いてみても、以下の結果となりました。

 1.50Hzは問題なく再生されている。実際には高調波も含んでいるので、純粋な50Hzのみではない
   けれど、十分な音圧が確保できている。

 2.100Hzぐらいにディップがある。エンクロージャの定在波の影響か、部屋の影響なのかは不明だが、
   改善の余地あり。→上記グラフ@参照

 3.300Hzの前後にディップがある。こちらもエンクロージャの定在波の影響か、部屋の影響かは不明
   だが、改善の余地あり。→上記グラフA参照

 4.400Hz以上は概ね良好な音圧レベルを確保出来ている。7000Hz以上はソフトとマイクの性能
   により記録されていないが、聴感上はまったく問題なし。

 気になるのは100Hzのディップです。100Hz付近というのは、低音楽器としてもよく使われる音域
だと思うので、出来ればこの部分のディップは改善したいです。だた、このディップは部屋の影響かもしれな
いので、近いうちに別の部屋で再度取り直してみる予定です。


最後に

 約20年ぶり?のスピーカー工作(笑)。とりあえず満足のいくものが出来ました^^v。細かいところは
エージングを進めながら、吸音材の調整や補強材の追加などでチューニングして行く予定です。あと、側板の
長さがビミョーに短くて(笑)、底板との間に0.5mm程度の段差が出来ているので、側板上に滑り止めか
インシュレーターを取り付けることも検討中。ま、気長にやります^^v。



参考ウェブサイト

エンクロージャー設計支援ソフト sped
http://www.asahi-net.or.jp/~bk3k-andu/


CF404−8A 実測パラメータ
http://www.ops.dti.ne.jp/~ds79/audio/database/altec/altec405.html


『WaveGene』&『WaveSpectra』
http://www.ne.jp/asahi/fa/efu/


ダブル・バスレフ改造編はこちら^^v




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